メタルボンド用地金の話題 Home
メタルセラミックスの初期の頃のメタルといえば、KIKやDegudentに代表される
プレシャスメタルが主流でした。しかしこれらのメタルは、焼成による変形で薄いマ
ージン部が開いてきたり、ロングスパンのケースではアーチが歪んだりと苦労させら
れました。その後、コストや強度等の理由から多少金の含有率を押さえた地金も普及
し、それらの時代が続きました。
やがて、金地金の高騰により低価格のNi-Crベースの金属が急激に普及し始め、や
がて大半がそれに取って代わりました。このメタルは非常に強度があり焼成時の変形
も殆ど無く、安心してロングスパンのブリッジも製作できました。しかしあくまでも
基本はプレシャスメタルにあるということで、「代用金属」などと呼ばれました。で
も、その堅さゆえの問題や生体親和性への疑問などで、徐々に使われることも無くな
りました。しかしその時点で、再びすべてがプレシャス系メタルに戻ることはありま
せんでした。それより安く手に入るセミプレシャスメタルに移行が集中しました。
セミプレシャスメタルはPdを主体とした合金で、当初は対応していない淘材もあ
って、含まれる銀による黄変などもありましたが、淘材の対応も進み、現在の主流に
なっています。適度な強度もあり、焼成による変形も往年のプレシャスメタルに比べ
ると少なく、使いやすいメタルです。合金の組成によっては、後ロー着の強度に若干
の不安もあるようです。現在、最も多く使われている地金です。
その他には純チタンによるメタルセラミクッスなども紹介されていますがまだまだ
一般的では無いように思います。
しかし昨今Pdが異常な高騰を見せ、プレシャス系に迫る勢いです。これによってプレ
シャスメタルに割安感が出てきたように思います。しかも要望が多い割には値段の点
でなかなか普及しなかった、ゴールド色のメタルがここにきて手の届く所に来たよう
に思います。金86%、白金11.2%、その他2.8% 生体親和性に優れ、マージン
のブラックラインも回避できます。カタログデータによりますとHV220ということ
ですが、感触としてケースにも寄りますが、前歯では2歯欠損、臼歯は1歯欠損程度の
ブリッジに適用出来ると思います。但し比重が約18.0と重くセミプレシャスの約14.0
に比べて量的には多く必要ではあります。現在当ラボでも強くお進めしている地金です。